アメリカでは金融不安が燻っています。ファースト・リパブリック・バンクが破綻し、JPモルガン・チェースが引き受ける形で救済されましたが、同様の状況に追い込まれている中堅銀行が少なくないようです。その中で、追い打ちをかけるような事態が進行中です。それが、アメリカ政府の債務上限問題です。現在の法定債務上限は31.4兆ドルで、これに抵触すると新たな国債発行はできなくなり、利払いや償還もできなくなる可能性があります。米国政府は、債務不履行に陥るリスクがあると警告し、迅速な対応を求めました。

この問題に対して、バイデン大統領は共和党・下院議長、民主党・下院院内総務、上院で多数を握る民主党・上院院内総務、共和党・上院議員と話し合うために5月9日に会合を開くことを呼びかけました。これは、借り入れ上限額を巡る協議となるでしょう。

借り入れ上限額は、法律で定められており、1月に上限に達し、財務省は基金を活用して対応しています。しかし、政権と野党共和党の対立により、上限を引き上げることができず、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性があります。イエレン財務長官は、上限を引き上げなければ、早ければ6月1日にもデフォルトに陥る可能性があると警告しています。また、上限を引き上げなければ、米国の世界的なリーダーの地位を損なうと強調しています。

この問題によって、市場が混乱する可能性があります。長期的には、債務上限が引き上げられることが予想されますが、短期的には、不安定な状態が続く可能性があります。現在、アメリカ経済は回復しているものの、債務上限問題によって、その回復を妨げることが